天国物語

天国物語




ある日、目を覚ましたら、いつもと様子が違うことに気づいた。
見慣れた天井に見慣れた壁。
自分の部屋であることには間違いないようだ。
しかし、部屋が妙に明るい。
外から光が差し込んでいる、というより、部屋の空気全体が光っているという感じだった。
それに、今日はなんだか体が妙に軽いな♪
いつものような頭痛もないし、持病の腰痛も痛くないぞ☆

典佑(のりすけ)は、気分良く目覚めた爽快な朝に幸せを感じつつ、いつものように会社に行くために家を出た。
外はとても良い天気で、まるで周りの空気全体が光っているようだった。

「今日は、体の調子も良いし、いつになく気分爽快だな☆」

典佑は鼻歌を歌いながらバス停に向かい歩いていた。
すると、途中で知らないおばあさんが話しかけてきた。

「お〜〜い、典佑ちゃんよ〜」

誰だろう?知らない人だけど、なんか俺の事を呼んでるぞ?

「え〜っと、どちらさまでしたっけ(*´ω`*)?」

典佑は、おばあさんに聞いた。

「わしじゃよ、わし!」
「まぁ解らんのは無理ないか。」
「お前、今日は会社に行くのやめろ!」

おばあさんは、ニコニコ笑いながら典佑に言った。

「え?ばあちゃん、何言ってんの!?」

典佑は、おばあさんに言った。

「今日はな、特別な日なのじゃ」
「だから、会社に行くの辞めて、ちょっとわしと一緒に来てほしいのじゃ」

おばあさんはそう言うと、典佑の手を握ってきた。

「馴れ馴れしい、ばぁちゃんだなぁ・・・」

そう思いつつも、典佑は、不思議と懐かしさと感じていた。
それに、おばあさんに手を握られて、なんとも言えない安心感もあった。


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気がつくと、おばあさんに手を握られたまま、見たことのない場所に来ていた。

「あれ?ここは何処?」

典佑とおばあさんは、辺り一面真っ白の、何もない空間に立っていた。

「ばーちゃん、あんた何者?!」
「それに、ここは何処?」

典佑は質問した。

「今日はお前の卒業記念の日なのじゃ」
「今までよく頑張ってきたからなぁ」
「そいでは、わしは忙しいからもう行くわなぁ〜」

おばあさんは、そう言い残すと、どこかへ行ってしまった。

「何だったんだ・・今のばーちゃん・・・」

典佑は、少々戸惑いながらも、周りを見渡してみた。
真っ白に見えた風景は、よく見ると部屋の中にいることに気づいた。
部屋の広さはよく分からないけど、なんとなく「囲まれた空間」にいることは、感覚的にわかった。
おかしいな・・・
たしか、今日は会社に行こうと思って歩いてたハズなんだけどなぁ・・・
そう不思議に思っていると、

「お〜い、典佑!」

いきなり後ろから声がした。
振り返ってみると、4〜5歳くらいの小さな女の子が立っていた。

「典佑!よく来たな!」
「これからお前を案内するから、まぁそのへんでゆっくりくつろいでろよ!」

なんだ、この子供は?!
子供のくせに妙に態度でかいし、馴れ馴れし過ぎるぞ・・・
典佑は、少々戸惑いながらも、女の子に、

「君は誰?」
「ここで何してるの?」

と聞いた。

「そう怪訝そうな顔すんなよw」
「わたしが誰だか解らない?」
「まぁ、そのうち気づくからあえて説明もしないよ。めんどくせーし」

と、女の子は答えた。

「なんて口の悪い子供なんだ・・・」

典佑は思った。

「口が悪いって・・・ってか、口には出してないんだけどねw」

女の子は、典佑の目を見ながらそう答えた。
その瞬間、典佑は「ハッ」とした。

「そういえば、俺、喋ってないぞ!」

女の子は、驚く典佑の顔をじっと見上げながら続けた。

「やっと気づいたかw」
「わたしたちは、さっきからテレパシーで話してるんだよ」
「典佑、さっきも、ばーちゃんとテレパシーで話してたじゃん」
「気づくの遅せーよw」

女の子は、きゃっきゃと笑いながら歩き出し、典佑を手招きした。

「コッチに来て見てみな」

女の子は、テレパシーで典佑に言った。
すると、壁に窓があることに気づいた。
典佑と女の子は窓から外を眺めた。

「地球だ!」

典佑は声を上げて驚いた。

「そう、地球」
「これから地球で言う440光年先にあるプレアデス星系にあるエデンに向かう」
「まぁ、そのへんでちょっとくつろいでろよ」
「あ、わたし紀子(のりこ)ね!」

そう言い残すと、紀子はどっかに行ってしまった。

「くつろぐったって・・・この部屋、何にもね~じゃん」

そんな事を考えていたら・・・
ふと見ると、そこにはソファーがあった。
典佑はソファーに座ることにした。
ちょっと頭の中を整理しよう・・・。
たしか、今日は会社に行こうとしてたら、知らないばーちゃんが出てきて、そして気づいたらここにいた。
次に、口の悪い女の子(紀子)が出てきて、窓から地球を見せられた。
それに・・
440光年先?
プレアデス星系のエデンだと!?
なんだかよく分からないが、とんでもな事になっているじゃんか!
しかし、典佑の心は不思議と落ち着いていた。
典佑は、再び窓から外を眺めてみた。
地球はすでに見えなくなっており、外は物凄い勢いで星が流れていた。

「これは宇宙船なのか?」

典佑は思った。
自分がまったく違う世界に迷い込んでしまった事にも気づいた。
そして、これは夢ではなく、現実だと言うことにも直感的に気づいていた。
もし、これが夢だったら、もっと「ぼんやり」としているはずだ。
しかし、今の自分は、今まで経験したこと無いほど頭はスッキリ冴え渡っている。
目はよく見えるし、耳だってよく聞こえる。
仕事の疲れも感じないし、持病の腰痛も痛くない。
それに、さっきのばーちゃんと言い、紀子と言い、言葉を声に発しなくとも、頭で考えるだけで会話ができていた。
それでも、感じる事すべてが「リアリティー」と表現するにふさわしい現実感があった。


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エデンに着くと、紀子がエデンを案内してくれた。

「もう気づいたみたいだな」

紀子が典佑にテレパシーで話しかけた。

「もしかして、俺は死んだのか?」

典佑がテレパシーで返した。

「そうだよ」
「ま、正確に言うと私が殺したんだけどねw」

紀子は、きゃっきゃっと笑いながら答えた。

「なんだって!?」

典佑は戸惑った。
しかし、自分が殺された、と聞いても、不思議と怒りの感情は湧いてこなかった。

紀子は続けた・・・

「典佑、地球での人生はどうだった?」
「色々辛いことや苦しい事もあっただろうけど、すごく楽しんでたよね!」
「わたしたちは、ずっと典佑の事を見守っていたけど、意外と早く覚醒できたみたいなんで、もうこれ以上地球に居ることもないかな?と思って、わたし達は話しあって、典佑の心臓を止めることにしたんだ」
「まぁ、それにより地球では悲しむ人もいるだろうけどね」
「で、典佑が、地球でのミッションを予定よりも早く終了しちゃったから、わたしたちは、典佑をエデンに戻すことにしたんだ」

典佑は少し驚いた。

「エデンに戻す!?」
「俺はもともとエデンにいたの?」

紀子は続けた・・・

「そうだよ」
「まぁ、地球に行くときは、エデンにいた時の記憶は全部消しちゃうから、そう思うのも無理ないけどね」
「でも、典佑が地球で生きてきた人生、全部、典佑自身が最初に決めたんだぞ〜w」

紀子はそう言うと、また、きゃっきゃと笑いだした。

 

エデンは、とても良いところだった。
宇宙船に乗った時から気づいていたが、ここでは会話は必要なく、みんなテレパシーで会話をしている。
目に見える景色は、木々や空、建物や行き交う人々、全てのものが色鮮やかで光り輝いていた。
紀子の話では、エデンは地球のように宇宙空間に浮かんでいる惑星ではなく、時空間に人工的に作られた「泡」のような存在で、この世界の人達は泡の内側に生活しているらしい。
そして、エデンを作ったのは、はるか昔に存在した知的生命体だと言う。
この世界は、地球で言う5次元空間と呼ばれる世界らしく、時間、重力、光速の概念が地球の物理法則とは少し違っているらしい。
3次元世界に住む地球人にとっては、アインシュタインの相対性理論は正しいけど、5次元世界では物理法則が少し違う。
地球人がそれを理解するのには、まだ数百年かかることも、紀子は教えてくれた。

エデンの住人は、自分たちのような地球人もいるけど、様々な姿をした知的生命体がいた。
そして、よく見ると、地球人によく似た背の丈が3mはあろうかという、金髪のイケメンや美女もいた。

「あの人達は?」

典佑は紀子に聞いてみた。

「あの人達は、地球のスピリチュアル好きな人達からプレアデス星人って呼ばれてる人たち」
「プレアデス星人は、寿命がだいたい1000年くらいあるんだよ」

「へ〜〜〜」
「あっ!あれは知ってる!」

典佑が指を指した方向には、地球でよく知られている「グレイ」と呼ばれる宇宙人がいた。

「彼らは、地球ではグレイって呼ばれてる宇宙人だね」
「でも、地球でよく見られているグレイは、本物のグレイじゃなくて、地球人と他の宇宙人が遺伝子操作で作ったアンドロイドなんだけどね〜」

と、紀子は答えた。

空を見上げると、鳥のような生き物が飛んでいるのが見えた。
しかし、妙にデカイぞ・・・

「ドラゴンだよ」

紀子は答えた。

「え!龍もいるのか!?」

典佑は驚いた。

「正しくは竜族とよばれる種族」
「彼らは過去に地球に行ったこともあるんだ」
「だから、世界中でドラゴン伝説って残ってるでしょ?」

そう紀子は答えた。

「俺はこれからどうすればいいんだ?」

典佑は、紀子に聞いた。

「好きなだけ、楽しめばいいよ」
「もう気づいてると思うけど、ここでは思ったことは全部現実化する」
「さっき宇宙船の中で、座りたいなーって思ったら、ソファー出てきたでしょ?」
「想念がそのまま物質化するから、仕事をする必要もないし、お金もいらない」
「だから、奪い合いもないし、競争もない」
「その結果、僻みや妬みの感情も一切存在しないってワケさ!」

紀子は、さらに続けた・・・

「でも、この世界で暮らしているといづれ解ってくるけど、飽きちゃうんだよね〜」
「なんか刺激がほしいなぁ〜とか、成長したいな〜って、絶対に思うようになるから!」
「そうしたら、また別の星に遊びに行くんだ」
「いろんな事にハンディのある世界に行けば、苦労を感じることによって、本当の幸せを体感するっていう喜びが得られるからね〜」
「そんなことを繰り返していくうちに、わたしたちは魂のレベルを上げていくってワケさ!」

と、紀子は得意気に語った。

「あと、聞きたいことがあるんだけどさ・・・」
「俺、紀子の事知ってるような気がするだけど・・・」

典佑は紀子に聞いた。

「お、気づいたか!」
「地球にいた時、親に聞かされなかった?」
「典佑が生まれてくる何年か前に、わたしの魂は、わたしたちのお母さんのお腹の中に入ったんだ」
「でも、ちょっと事故があって流産しちゃってさ・・・」
「で、わたしは地球で暮らすの止めてエデンに戻ってきちゃったんだ」
「つまり、わたしは典佑のオネーチャンってわけだ!きゃはは☆」

と、紀子は得意気に答えた。

「やっぱりそうだったのか!」
「なんか馴れ馴れしいし、上から目線だし、身内っぽいなぁとは思ってたんだけどね」
「でも、流産で死んだのに、なんで4〜5歳の女の子なの?おかしくね?」

と、典佑は聞いた。

「死んだ時の姿、つまり胎児のままで典佑の前に出ていっても、誰だかわかんねーだろ!」
「それに胎児が喋ってたら気持ちわりーじゃんw」
「だから、わかりやすく女の子の姿で視覚化してんだよ」
「ほんと、典佑って馬鹿だなぁ」

紀子は、少し照れた様子で、典佑を小馬鹿にした。

「じゃぁ、最初に出てきたおばあさんは、もしかして・・・」

「ああ、あれは、わたしたちの曾祖母ちゃんにあたる人だよ」
「やっぱ死んだら、最初は先祖が迎えに行くのがデフォだろ?」
「だから、お迎え役は、曾祖母ちゃんに頼んだのさ!」

と、紀子が得意気に答えた。

 

どれだけ時間が過ぎたことだろう・・・
この星では時間の概念が地球とは違うので、何年経ったとかは正確には解らない。
しかし、幸せで満ち溢れたこのエデンという惑星での生活は、紀子・・・いや、姉ちゃんの言った通り、やっぱり退屈なような感じもしてきた。
そんな時に久しぶりに紀子に会った。

「よう、典佑!ひさしぶりだな」
「そろそろ、エデンを出たくなってきたんじゃないのか?」

紀子の予想は図星だった。
典佑は、エデンを出て、次の世界に行きたいと願うようになっていた。
その感覚は「刺激が欲しい」というよりも「魂を磨きたい」と言うのが正しいかもしれない。
自分が存在し続ける理由は、魂を磨いて、高い次元に上がっていく為なのだ。
という気持ちが、典佑の心の底から沸き上がっていた。

「俺、次の世界に行くよ」

典佑は、紀子に言った。

「そうか・・・でも実は、典佑が次に行く星はもう決まってるんだよね〜♪」

ニコニコしながら紀子が続けた。

「典佑が次に行く星は、アンタが昔いた地球より、文明が500年ぐらい進んでいるから、仕事やお金や国家って概念は、地球とはだいぶ違う文明社会になるけどね」
「でも、まだまだその星の住民の魂レベルは高くないから、戦争や争いは起こっている」
「当然、辛いことや苦しいことも沢山あるけど、それもひっくるめて、思う存分楽しめるよ!」
「まぁ、典佑のことだから、すぐに魂パワーアップさせちゃって、また別の星に行くんだろうけどね」

と、紀子は答えた。

「え?別の星に行って、役目を終えたら、またエデンに戻ってくるんやないの?」

典佑は紀子に聞いた。

「一概にそういう訳でもないんだよ」
「たとえば、典佑が昔いた地球もさ、あれ、あと2000年位経って人類が進歩したら、今度はあの地球が他の星から見たエデンになるわけ」
「そのためには、地球は3次元世界から5次元世界へ次元上昇(アセンション)する必要があるけどね」
「ただ、今のままだと、人類が進化する前に滅んじゃう可能性もあるから、なんとも言えないけどね」
「でも、地球にも良い心を持っている人たちはいて、その人達が今、必死になって地球をアセンションさせようと頑張ってるんだわ」

紀子の話を聞いて、典佑は、宇宙の仕組みを理解した。

「そうか、こうして宇宙規模で魂が輪廻転生を繰り返すことによって、知的生命体は魂のレベルをどんどん上げて進化していくんだな!」
「で、紀子・・・いや姉ちゃんは、どうするんだ?」

典佑が聞いた。

「わたしはもう一回地球に行って、人類のアセンションの手助けをしようと思ってる」
「たしかにエデンは幸せいっぱいで楽しいけど、やっぱ退屈だしね」
「地球に行ったら、すごい美人のスピリチュアルヒーラーになって、スケベな男どもを色気で釣りつつ、地球人の魂レベルを上げるというミッションを遂行することに決めたんだ☆」

紀子はキャハハと笑いながら、地球での次の人生を得意気に語った。

「へ〜〜、地球かぁ。大変そうだけど、紀子ならきっと多くの人たちの魂レベルを上げることができそうだね!」

典佑は、紀子の人生計画を聞いて、自分まで嬉しくなった。
その後、典佑は、次の惑星へと向かう宇宙船に乗った。
目的は、次の惑星に住む知的文明人として生まれ変わり・・・

自分自身が楽しい人生を送る事。
自分自身の魂レベルを上げる事。
そして、多くの人達の魂レベルを上げる事。

典佑は、壮大な目標を持って次の惑星へと向かった・・・。

 

おわり


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